留学中に得た専門知識を有する人材として帰国後活躍すること、また日本のよき理解者として友好関係の基盤拡大と強化に貢献することを目的とするJICA人材育成奨学計画(JDS事業)の一環で、JICA留学生が視察研修で来島。「持続可能な農業」をテーマに実施した研修の様子をまとめます。
JICA人材育成奨学計画(JDS事業)は、政府の「留学生受入10万人計画」の下、1999年度に設立された無償資金協力による留学生受入事業。
PREXの実施するプログラムに参加をするJDS留学生は、行政官として活躍し、将来指導者層となることが期待されています。現在は日本の大学院に留学し、国の抱える課題解決のための手法を学んでいる最中。
今回の研修では、日本が抱える課題解決の先導モデルとして掲げる「あわじ環境未来島構想」の一つ「農と食の持続」に関連した研修を実施。パソナ農援隊の「自然循環型のくらし」の様子をピックアップしてご紹介します。
ー目次ー
1.自国の抱える課題の解決を担う若きJICA留学生の研修概要
1-1. JICA留学生の淡路島での研修目的
1-2.「あわじ環境未来島構想」と「持続可能な農業」の親和性とは
2.循環型農業を実践する淡路島の取り組みを学ぶ
2-1.「パソナ農園隊」のセミナー
2-2.サスティナブルガーデン「Awaji Nature Lab&Resort」の視察 2-3.セミナーと視察を終えての意見交換会
3.その他関連する各種プログラムのご案内 3-1.取り組みを肌で感じていただける「視察研修プラン」
3-2."農”を通じた持続可能な社会の実現と組織づくり「体感型SDGs研修」 3-2.農作物の生産・加工・販売までを一貫して行う仕組みを学ぶ「6次産業化プログラム」
5.体験プログラムの前後の日程は淡路島西海岸施設でランチや買い物などを満喫!
今回研修に参加したガーナ、ネパール及びエルサルバドルの31名のJICA留学生、は日本の大学院に留学し、専門知識を有する人材としての活躍が期待されています。今回は、関西・四国・九州の各地域で実施する日本の行政や民間企業の視察や、幅広い意見交換を行う研修を実施しました。
4日間に渡るプログラムの、2日目の研修先は兵庫県淡路島。県民局での「あわじ環境未来島構想」の講義を受講し、「農と食」分野に関連し、持続可能なライフスタイルを提案する「パソナ農援隊」によるセミナーや視察を実施しました。
【あわじ環境未来島構想とは】
『生命つながる「持続する環境の島」』の具体的な姿として、エネルギーと農を基盤に暮らしが持続する地域社会の実現を目指し、「エネルギー」「農と食」「暮らし」の3つの持続を高める取組をバランスよく、相互に連携を図りながら展開する。(環境未来島構想推進協議会より抜粋)
今回研修に参加した研修生は、将来指導者にになることが期待される開発途上国の若き行政官。日本の大学院での留学中に得た専門知識を活かし、母国での活躍が期待されています。
久しぶりに母国の仲間と再会。同じ国出身の仲間と近況報告をしつつ、自国で経験してきた異なる分野の課題解決に向けた政策について考えることに意識を向け研修に取り組んでいました。
現地の視察・講義を通じて吸収したことを踏まえて、残りの日本での留学生活をさらに濃いものにし、学んだことを帰国後に実践予定とのこと。
「今回の研修で学んだことを自国でどう活かすか 国の為にできることを学んで日本での学習をより深いものにしたい」と高い志を持った研修生が集まりました。
パソナ農援隊では、農業人材の育成をはじめ、経営・マネジメントから 6 次産業化までの体系的な研修、地域農業の担い手を支えるサポーター人材を育成する取り組みを行っています。
農業分野の雇用創造と一次産業の振興により地域の活性化と持続可能な豊かな社会を実現することを、ビジョンとして取り組んでいる「パソナ農援隊」の取り組みスライドを使い、通訳を介してご紹介。
「日本で培われた技術や知識を用いて、自国の飢餓を将来的にゼロにしたい」と語る研修生。
▼株式会社パソナ農援隊 代表取締役 田中によるセミナー
1時間のセミナーを終え、持続可能なライフスタイルを体感できるサスティナブルガーデン『Awaji Nature Lab&Resort』を視察。旬野菜の収穫や土づくりなどの「農」体験や、自然栽培で育てた施設内の野菜を使った健康に良い「食」を提供するレストラン、自然素材を使用した「住」環境での滞在などを通じて、自然と共生する持続可能なライフスタイルを体感できるのが特徴。
一同が一目見て驚いたのは、世界的建築家の伴茂氏設計の農家レストラン「陽・燦燦」(はる・さんさん)
大自然に佇む畑の中の日本らしい建物に思わず感動して写真を撮る姿も。
自然に逆らわず微生物を活性化させた土づくりと、栽培や出荷、レストランの調理などの過程で発生する生ご
みや畜産残渣を発酵堆肥に変える循環型農業を視察。
レストランの調理などの過程で発生する生ごみを発酵堆肥に変え、 作られた堆肥は再び畑に還すことによって、作物の栄養に変わり、収穫を行う循環型の農業を実践しています。
年間 30品目以上、四季に合わせた野菜・果樹生産を行い「旬の採れたて野菜」をレストランで味わうことができます。
セミナーと視察を終え、通訳を介し活発な意見交換が行われました。行政官としての経験を経て留学をしている中、自国での課題の、飢餓やフードロス、SDGsに関する質問が多数寄せられました。
・アップサイクル
留学生が注目していたのは、農援隊で実施している「アップサイクル」。
アップサイクルとは廃棄予定であったものに手を加え、価値をつけて新しい製品へと生まれ変わらせ販売する仕組み。
通常捨てられている淡路島産新玉ねぎの葉っぱや小粒玉ねぎを アップサイクルしを開発した加工品「野菜ディップ」は 葉っぱ部分や玉の部分をまるごと使用し、 100 年の歴史がある味噌などを使い、化学調味料不使用にこだわった商品。 フードロスが世界規模で問題視される中、「この仕組みを自国でも実践したい」と興味を示していました。
・紙管構造の建築
留学生らは、世界的建築家の坂茂氏設計の農家レストラン「陽・燦燦」の店内にも着目。紙管構造と最小限の木材を使用したハイブリッド構造で、屋根構造には木の代わりに構造に必要な太さの紙管を使用し、安定した内部空間を作り出しました。
各国の研修生からは、レストランに入ると「木の香りと紙管を使用した開放感のある店内が気に入った」「紙管は軽く、安く、比較的どの国でも手に入りやすいから建築に生かすのはいいアイデア」などの声があがりました。
今回の研修では、視察利用のみでしたが、Awaji Nature Lab&Resortでは、農家レストラン陽・燦燦での食事以外に体験を通じて、SDGsや農業体験、6次産業の仕組みを感じていただけるプログラムをご用意しています。
取り組みを肌で感じていただける「視察研修プラン」
パソナグループの淡路島での取り組みを分かりやすくお伝えする地方創生セミナーと、地方創生を目的にした施設のアテンド付き視察がセットなった半日~終日のプログラムをご用意しました。
セミナー講師やアテンド社員との質疑応答やコミュニケーションで、リアルな地方創生の現場を感じていただけます。
視察研修プランはこちら
"農”を通じた持続可能な社会の実現と組織づくり「体感型SDGs研修」
SDGsの根底にある考え方である共創・循環・多様性を多面的に理解し“体感”することで SDGs を自分事にし、実践に繋げるきっかけを提供できる屋外型研修プログラムです。
生徒自身が、地球温暖化などの地球規模の社会課題に対して
「本当の原因は何か?」「持続可能な未来社会の実現に向けて、今どうしたらよいか?」という問いを持ち、自分なりの解決方法を模索する究極の探究学習です
体感型SDGs研修はこちら
実際の農産物を題材に農業・生産 ~ 製造・加工 ~ 販売・サービスの流れを体験いただく約90分のプログラム。
微生物などの自然の力を活かした栽培方法と、最先端の技術を活用したスマート農業を掛け合わせ、生産性向上と環境負荷を軽減した持続可能な農業を実現するとともに、淡路島の新たな産地形成及び特産品の開発に取り組んでいます。
収穫体験や袋詰め、ラベル作成、加工販売アイデアを考えるワークショップを体験いただけます。
6次産業化体験はこちら